死者の書

岩波ホールで『死者の書』っていう映画を見てきました。
「した、した、した、かの人の眠りは醒めていった。。。」
十七弦琴の荘厳な演奏を背景に岸田今日子のナレーションがいにしえへいざなう。
眠りから醒めたのは大津皇子。
藤原の一の姫にたたるのは何故?
演じるのはすべて人形。
不思議な映画でした。
折口信夫原作、
テーマは執心と解脱。
見終わってテロップが流れる背景に能の音楽と謡が流れて、それを聞いているうちにすごく気持ちが高揚してきました。
夕暮れにどこかで子供がぐずって泣き出した。
何が悲しいのか、子供は気持ちのかぎりに、胸いっぱいの息を泣き声として吐き出す。そんな感じの笛の旋律のくりかえし。
バックでは鼓と謡がさらに情感をゆさぶる。
なんども繰り返すうちに、旋律に違う色がすこしずつ混じってゆき、最期はようようあきらめたような、大きな溜息とともに音は終わる。
音が終わるまで席を立つ人も少なく、会場はまるで魔法がかかったような状態でした。
こりゃあ、原作を読まないとなあ。。。
どうしてこんな映画を見たかというと、、
今日は娘の大学の入学式だったんだけど、ぎりぎりに行ったら父母席は満員で、講堂に入ったけど座れなかった。
立ったまま学園長のあいさつ聞いたところで、飽きて講堂から脱出しました。
そして、終わるまで、たまたま近くでやってた映画を見たというわけ。
いい選択であった。