ぬいぐるみ2

0f032e05.jpg
子供が赤ん坊の頃、買い物帰りに公園の前で無料でパン配ってました。
それは、催眠商法で羽毛ふとんを売るあやしいバスへのお誘いでした。
私は近所の奥さんと一緒にパンに釣られてバスに乗り込んだのでした。(子供は家でお昼ね)
バスに入るとドアが締められて密室状態。
そこで、セールストークがはじまるんだけど、最初は雰囲気作りのために更に無料グッズがくばられます。
「ほしい人!!」という呼び掛けに「はーい!」と大きい声で答えた人から商品がもらえるんです。
みんな、「ハイハイ!!」と大騒ぎ。
あの「犬さん」は、ここでもらったのでした。
それからだんだんメインの羽布団うん十万の世界に入っていくのだけど、
わたしは無料グッズだけもらって途中下車。
もちろん、セールスのお兄さんにはすごまれたり、嫌味言われたりしましたけど、もともと、餌だけ食って逃げるつもりだったからね。。
このみたぽん様が釣られるわけないじゃん。
そうこうしている間に2人目が生まれた。
年子の下のA子はあまり手がかからない子でしたが、そのかわりいつまでも毛布が手放せませんでした。
夏になってもボアの毛布にくるまって汗をかいているA子にこの犬さんを与えたところ、すごく気に入ってどこへでも持ち歩いてました。
ところがある日、町で落としてしまった。
彼女の落ち込み方があんまり激しくて、私はどんなに子育てを『犬さん』に頼っていたか、痛感しました。
同じぬいぐるみを探したけど、売り物じゃ無いのでみつからない。
そこで、あの催眠商法のバスに一緒に乗った人を公園で探して、お願いして犬さんをゆずってもらいました。
その犬さんは新品だったので、まず土にこすりつけて汚し洗濯機で洗う作業を繰り返して、くたくたにして、クリスマスの朝、玄関に投げておいたのです。
クリスマスの朝、ずーっとどんよりしてた娘に、「あれ?今玄関で音がしたよ」と見に行かせると、わあわあ言いながら犬さんをかかえて戻って来ました。
「犬さんが戻って来た、犬さんが帰って来た!!!そうか、犬さんはサンタさんのお手伝いをするためにいなくなってたけど、クリスマスが終わったから帰って来たんだね。いぬさん、おかえりなさい!!!!」
A子3才。うちの犬さん神話誕生の瞬間です。
子供の喜ぶウソは手を抜かず、全力でつこうと決心した瞬間でもありました。
A子は小さい頃こう言ってました。
『この犬さんはね、悪いお兄さんにバスに乗ってつれてこられて、お母さんのところへきたんだよ。一回いなくなったけど、それはサンタさんのお手伝いをしてたから。クリスマスが終わったら、ひとりで帰って来たんだよ。』
彼女は、かなり大きくなっても、ちょっと不安な時はこの犬さんを折畳んで鞄にいれていたのを私は知っている。。。(かわゆいのお!)