【ギタぽんが出来るまで】4 旅の途中

関西の幼馴染は、久しぶりの再会を歓迎してくれた。わたしは一宿一飯の恩に報いるために、ギタレレで何曲か弾いた。
しかし、彼女の娘の様子がちょっとおかしい。
朝ドラの「半分、青い。」に出てくる津曲の息子のように、ずっとマスクをはずさない。
小学校高学年から中2まで不登校で、その時は家の中でも「道路から悪い空気が入ってくる」といってマスクをはずせないらしかった。
学校に行かずに家でずっと小説を書いているというので読ませてもらったら、すばらしい長編冒険ファンタジー!あの年であれだけの量の文章を書けることに驚愕した。
メル友になって、続きを読ませてもらう約束をして、翌日千葉柏の自宅へ向かった。
 
自宅は留守中、大工さんに床の改装をしてもらう約束で、私の友人に鍵をあずけていたが、なぜか友人に連絡がつかず家に入れない。
泊まるところがないので、仕事仲間のしっぽ♪に連絡したら、「今宴会の最中だよ~泊まりにきていいよ~」と快く一夜の宿をかしてくれることになった。
やった~宿ゲット!
 
手土産にデパートの刺身盛りを持って行くと、たのしそうな宴会の真っ最中!飲めないわたしも参加して、ギタレレを弾いて盛り上がる。「みたぽんギターが弾けるのかあ?」と言われ、ここでしっぽ♪と音楽の縁が繋がった。
 
翌日には鍵をあずけてた友人とも連絡がつき、無事自宅に帰りました。春休みのうちに子供達も戻り、引っ越しも済んだ。
 
わたしはすぐに知り合いの会社にアプローチして仕事を受注したが、元の会社の社長からも連絡があって、戻ってこいという。嫌だと言ったら、出社する必要はない。決まった時間自宅待機していれば、仕事があってもなくてもパート扱いでお給料をくれるという立場で戻ってこいと言う。なんだそれ?旦那を待つ囲われ妾みたいだなと思ったけど、願ってもない条件なのでOKしました。やったー、定期収入をゲット。
社長は、会社が大きくなるまで一緒に苦労したスタッフをキープしておきたかったのかもしれないね。そういうのって冒険の旅の仲間みたいなもんだから。
 
2001年、満開の桜に雪が降った不思議な春、私は受験生の娘を持つ働く主婦として、忙しい日常生活を再起動した。