【ギタぽんが出来るまで】8 再々起動はギター教室から

いきなり歩けなくなるのは本当につらい。腰椎分離滑りによるヘルニアという診断だった。

背骨は関節がずらっと並んでいて、ずれないように後ろの方で全部接続されている。そのコネクター部分が折れて、背骨がずれたのです。
それで椎間板が潰されてぶにゅっと出て(これをヘルニアと呼ぶ)神経に触っていた。
あまりの痛みに足がびっくりしたのか、右足が冷たくなって感覚も鈍く、20秒くらいで歩けなくなる。
正座で痺れた後の感覚が戻ってくる直前の痛みがずっと続く感じ。
フルタイムで都内に通ってたのに、その日から会社に行けないのでしかたなく退職。仕事が面白かったので、とても残念だった。
病院では、「とりあえず痛み止めとシップで保存療法です。ひどくなったら手術です。以上」と言われ突き放された(気がした)。
このまま一生歩けないのかと不安で夜も眠れなくなった。

2ヶ月ほどたって、知人に紹介された盲目の鍼灸師の方に施術してもらった。
その日の夜から、右足に血流が戻って温かくなり、眠れるようになった。
徐々に痛みのレベルが落ち着いて歩ける時間が伸びて行き、杖をつきながらなんとか歩ける。車で移動し、カートにすがれば買い物もできる。
なんとか日常生活の目途がたった。

座っていれば痛みはないので、仕事や受験へ注ぎ込んでいたエネルギーが全部音楽へ向かった。
沖縄音楽は基本的には三味線の漢字譜。リズムも変拍子。西洋的な楽譜の無い世界なので、耳で聞いて楽譜を起こす。
西洋的な和声は民謡には会わないので、工夫するしかない。アレンジもするようになった。
でも、、何かカッコ悪い。自分の引き出しの無さに悩み、カッコよく弾いてる人に「教えてください」と頼んだけど「自分は教わった事がないので、教えられない」という。
そうか、、「弾ける=教えられる」 というわけでもないのだなと思う。
ある日駅前の喫茶店でお茶してたら、音楽教室のチラシ発見。お店の二階が音楽教室で、クラシックギタークラスがあるという。先生は元ジャズギタリストだという。これはピッタリ!
早速体験レッスンを受けてみたら、先生のギターの音色がとても美しく、、昔々セゴビアのレコードを聞いていたときの気持ちを思い出したので、習う事にした。

習い事の苦手な私が生まれて初めての「ギター教室」に入ったのでした。

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