【ギタぽんが出来るまで】21 コワーキングスペースKOIL

ギタぽんの試作品は、最初はノコギリで切って作ってたので、製品になるとは思えない不細工さだった。
かといって、試作のためにいちいち金型作ってお金はかけられないと悩んでいたところ、
柏の葉キャンパス駅のKOILというコワーキングスペース内にレーザーカッターがあって、一般人もつかえるという。

レーザーカッターはイラストレータというソフトで作ったデータで切れるのですが、
実は私は昔DTPが仕事で、細かい機械の絵をトレースしたり細かい仕事が多かったので、その技術で設計できる!
これで、人に頼まず自力で試作品を作る道が開かれた!

さて、切り抜きが出来ても加工が難しい。熱を加えて曲げ加工するための機材も買ったけど、上手く使えない。
結局、板の加工は240度まで設定できるヘアアイロンを使う。
なぜ人間の髪にそんな高温が必要なのか謎な温度設定だけどプラスティック加工に最適(笑)
色んな素材を試した。
工具も必要に応じて増えて行き、それでもできない作業のために自力で色々な治具も作り出す。
どうしても自分で作れなかった治具を長野のギター友達にお願いして作ってもらったり、
ギタぽんの指押さえ部の原型を南柏のモノモスさんに作ってもらったり、色んな人にたすけてもらいながら、むやみやたらな試行錯誤

同時進行で頭の中でも思考の試行錯誤が始まる。

弁理士さんに色々アドバイスされて、いろんなタイプのギタぽんを考え出した。
・メジャー3コード(今のギタぽんのしくみ)
・マイナー3コード
・ウクレレ用
・メジャーマイナー混合型(5つくらいのコードが弾けるもの)
混合型になると、一気に複雑になる。実際作ってみたけど複雑で、安定して作れる気がしない。
こんな複雑でカッコ悪いものじゃなく、もっとすっきりとしたしくみでコードがふやせないだろうか。。。
寝ても覚めてもその事が頭から離れなくなったある日突然、ぐにゃりと脳味噌がよじれた感覚があって、
可能な限りのどんなコードでも指いっぽんで押さえられる仕組みを思いついてしまった。
すごくシンプルな仕組みの組み合わせで、もちろんノーマルチューニングのままできる。
前の無理矢理なものとは全く違う。
ここにイメージの飛躍があった。脳内麻薬がブシューッと出た感じで、すごくテンションが上がった。
頭で考えるだけでこんな楽しめる事が世の中にはあったのかと驚く。

特許取得へと舵を切ったので、関係者には生意気にも「守秘義務契約書」を書いてもらって開発を続けた。
特許を目指す以上ギタぽんの事は人に言ってはいけないと言われ、孤独な一人きりの秘密の作業が続いた。

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