1章 ギターは難しいですか?(導入)

・コードがおさえられません
・力がないからでしょうか指がみじかいからでしょうか
・指が痛すぎです
・Fで挫折しました
・楽譜も読めないし、あんなに沢山のコードが覚えられるわけないです

◆難しさの理由その1:利き手

子供がピアノ教室に行っていきなり両手で弾くことを習いません。まず利き手である右手からはじめます。
左手は不器用なのです。
その理由は、人間が言語を使う動物だからです。
言語中枢は左脳にあるので、左脳が制御する右手が利き手になることが多いです。人間の98%が右利きであると言われています。

これが、上記の「ギター左手呪いの言葉」を発する大きな原因のひとつです。

◆難しさの理由その2:協調運動

その上、ギターの本当の難しさは、ピアノと違って、初心者でも両手をつかわないと弾けないこと。
しかも左右違う種類の動きで同時に作業するしかないところにあります。
複数の動きが合わさって一つの動作を構成することを【協調運動】といいますが、要素が増える事により、何倍も難しくなります。
さらに、不器用な左手を使った協調運動が難しいのは当たり前で、弾き語りでは「歌う」という要素まで加わりますから、ギター弾き語りは思った以上に難しいことなのです。

協調運動として良く知られるのは、スキップ、自転車、さかあがり、跳び箱など。
子供が苦労するのもあたりまえですね、子供は人生初心者ですから。

スキップ=前へ進む+上へ飛ぶ
自転車=バランスを取る+ペダルをこぐ

スキップができなくていじられていたアナウンサーがいましたけど、わらっちゃ気の毒です。
https://www.youtube.com/watch?v=zBZgKzn81oA

子供の頃自転車に乗るために何度も転んだ人も多いと思いますが、足をこぐことに集中するとバランスを崩すのが原因です。
最近の子供たちは、自転車のペダルをはずして、まずバランスを取る動きから会得し、その後ペダルを付けて、一瞬で乗れるようになります。
https://www.youtube.com/watch?v=cIzgklzGzfc&t=37s

ここにギターの難しさをクリアするヒントがあります。

◆1と2を同時に解決:オープンチューニング
ギターもピアノや自転車風に攻めましょう。
まず一つの動き、利き手である右手から攻略するのです。
右手がこなれてから左手にとりかかるのが一番効率がいいです。

でもギターはピアノと違って、左手を使わないと音が全く変わらず音楽になりません。
じゃあ出来る限り簡単にしましょう!

ギターは本来とっても自由な楽器。
ピアノと違って、自由にチューニングを変えられます。

ローリングストーンズのキース・リチャード、山崎まさよしが弾くブルースギターのボトルネック奏法、ハワイアンのスラックキーギターなどで使われているオープンGチューニングを使いましょう。

プロも使うチューニングです。簡単だからと言って、けっしてショボい音楽にはなりません。むしろおしゃれな響きがかっこいいです。
オープンGチューニングは、左手で何も押さえない(オープン)で、じゃーんと弾くとGのコードが鳴るチューニング。
3本弦を緩めるだけなので楽器にも指にも優しい。
なにより、指2本だけで簡単に基本の3つのコードが弾き分けられるというメリットがあります。

3コードの曲は沢山あるので、左手が簡単なうちに、右手を中級以上まで鍛えましょう。
弾きながら歌うという体全体のコンビネーション、
左手と右手のタッチのタイミングなど、ギターの基礎の基礎がしっかりと身につきます。

◆難しさの理由その3:コードの複雑さ・楽譜が読めない

3コードから始める事で、もう一つ素晴らしい効果があります。
3コードの曲を弾き語っているうちに、コード理論を勉強しなくても、あなたの体の中にコード感覚が養われるのです。

スリーコードとは、ハ長調でいえば、
1度:ドミソ コードC
4度:ファラド コードF
5度:ソシレ コードG
これは音楽の世界では有名な、主要3和音と呼ばれます。

え、音楽苦手?コードなんてむつかしくてわからない。楽譜も読めないし。
大丈夫。アルファベットを使ったコード表記の代わりに●■★の記号を使います。

  何も押さえないのが● 1度
人差し指と中指が隣同士の弦を押さえるのが★ 5度
人差し指と中指の間に弦一本分隙間を空けて押さえるのが■ 4度

この3つ、いや実際には●は何も押さえないので、【■と★】の2つを覚えるだけで3コード弾けます。
楽譜には●■★が書いてありますので、その意味を理解するだけで伴奏できます。
しばらく歌と右手の練習に専念しましょう。

コード理論:自分の中のコード感覚をたよりに、後付けで理解する
さて、色んなパターンで右手が使えるようになったら次のステップです。

オープンチューニングからノーマルチューニングに戻し、いよいよ一般的なアルファベット表記のコードを使いますが、
それも3つセットで覚えてゆきます。
この時、馴染んできた記号の形が橋渡しとなります。
●=基本の1度 ■=角が4つで4度 ★=角が5つで5度。
音階と度数が理解できることでしょう。
身に付いたコード感覚をたよりに、普通のコードを3つセットでおぼえてゆきます。
右手はもうできていますから、左に集中できます。左手中心にコードチェンジなどを中心にトレーニングします。

スモールステップで左右バランスよくトレーニングする!それが上達のひけつです。

この3つのコードセットは、●「トニック」■「サブドミナント」★「ドミナント」とも呼ばれそれぞれ、
トニック=安定
サブドミナントとドミナント=不安定
コードの並び方には心を動かす機能があります。
音楽を心地いいと感じるのは、不安定から安定へと解決する安心感を人間が音から感じとれるからです。
あかちゃんが、「いないいないばあ」を楽しめるのは、ママが顔を隠すことで感じる不安がすぐに解消されることを理解していているからです。
不安と安心、緊張と緩和。
お笑いも音楽もいないいないばあも、予定調和の中で心の揺れを楽しむ人間の性質がかかわっています。

なんでも3つセット!

人間は、ひとつ、ふたつ、みっつまではその場で把握できますが、4つ以上は「たくさん」ととらえます。(指が5本なので多くて5つまでなら把握できるかな)
だから、新しく出てくる要素は、すぐに把握できるよう、何もかも3つで組み立てています。
例:左手はスリーコード、右手はスリーフィンガー、まず3拍子から始め、アルペジオもストロークも3つのパターンに限定します)

ハ長調で良く使うコードの基本セット[C F G Am Dm E] はマイナーを含め6つのコードから出来ていますが、
すでにスリーコードとして3つ「C F G」使えるので、残りは3つ「Am Dm E」。
あっという間にコードの仕組み、コード進行のキモがわかるようになります。

なにもかも、一番単純なレベルに分解して組み立ててあるので、順番通りにやっていくとわかるようになっています。
スモールステップで挫折なし。

◆だれも取り残さない

指2本でもちゃんとできない人もいます。
たとえば、練習はしたくないけど弾きたい人、ネイルをぜったいに切りたくない人、手が小さすぎて弦が押さえられない幼児、左手に障がいをかかえた方(左半身麻痺でうごかないとか)
そういう方のためには、発明家みたぽん考案の指一本で、いや足一本で3コード押さえられるコード演奏補助具があるよとの紹介もいたします。

◆音楽の本質は上手に弾けるということにはない

ギターを楽しむ方法はさまざま
かならずしも上達だけではない。
ギターの楽しみ方はさまざまです。

Posted by みたぽん