星野ギター工房

今日行ってきました。
道順を教えてもらったので石神井公園の駅から住宅街の中を歩いてゆく。
あのあたりは昔ながらの住宅街で大きな桜の木がたくさんありました。もう大方花びらは散って、地面は雪が積もったよう。桜草、パンジー、もくれん、かいどうの花、左右のお庭に咲き乱れているのを道々鑑賞しながらてくてく歩く。
ちょうど予約した時間に到着。星野さんの御宅はお花の咲き乱れたピンクの建物でした。ぴんぽ~ん!
なかからにこやかな星野さんが出ていらっしゃって、二階の工房へ案内される。
ドアをあけたとたん、いいにおい。
木の匂い?ニスの匂い?わからないけど、ギターのにおいです。
棚には製作中のギターが何本もぶら下がっている。
どれも私のギターと同じ模様だよ。
「じゃ、見てみましょうか」とケースからだすと、急に窓の外が暗くなって雷がゴロゴロ。強い雨がぱらぱらと降り始めた。
「ちょうどよかったね、もうちょっと遅かったら雨にふられてギターが濡れるところでしたね。」とあくまでギター思いの発言。
雨が降り始めて室内は急に暗くなる。
雨の音だけが聞こえる工房の中で、電気もつけずにしばし無言でギターを眺めて、あちこち調べる星野さん。
「すごいね、全然狂って無いよ。たいしたもんだね。30年だよ。ギターって長持するんだなあ。」
と満面の笑み。
フレットと糸巻きをギターの先生に直してもらったこと、そのときに力木が剥がれかけてるのを発見してもらったことを伝えると、中を覗いたり、背面の木をこんこん叩いたりして、「本当だ、お見立てどおり、はがれかかってるね。でもフレットも直してあるし、ニスも塗ってあるし、調整も上手に出来てるし、これ修理すぐできますよ。」
「1977年っていったら僕が独立して6年目だ。まだ中野にいるときのギターだね。どこをどうながれて広島までいったんだろう。。これは糸巻きもいいのを使ってるし、ハカランダ使ってるし、今だったら100万します。状態もいいし、値打ちありますね。」と言われる。
このギターを手に入れてどんなに嬉しかったか、このギターとともにすごした青春のあれこれ苦かった事も一緒に一瞬頭をぐるぐる巡ったけど、にこにこしながらギター見てる星野さんを見てたら、そういう邪念がすうっと消えたような気がしました。
うーむ、こりゃ憑き物落としのようだな。
「じゃ出来上がったらまたメールしますね。」といわれて、私のギターは無造作に100万円のギターの隣に吊り下げられました。
窓の外がさっと明るくなって、雨も上がりかけたようなので、工房を失礼する。
雨はまだ降ってました。でも太陽も照ってました。ひさしぶりに見た天気雨。キツネの嫁入り。
帰りはバスに乗って、どんどん明るくなってゆく空を見ながらなぜかとってもシアワセな気分で帰りました。