ぬいぐるみ2
子供が赤ん坊の頃、買い物帰りに公園の前で無料でパン配ってました。
それは、催眠商法で羽毛ふとんを売るあやしいバスへのお誘いでした。
私は近所の奥さんと一緒にパンに釣られてバスに乗り込んだのでした。(子供は家でお昼ね)
バスに入るとドアが締められて密室状態。
そこで、セールストークがはじまるんだけど、最初は雰囲気作りのために更に無料グッズがくばられます。
「ほしい人!!」という呼び掛けに「はーい!」と大きい声で答えた人から商品がもらえるんです。
みんな、「ハイハイ!!」と大騒ぎ。
あの「犬さん」は、ここでもらったのでした。
それからだんだんメインの羽布団うん十万の世界に入っていくのだけど、
わたしは無料グッズだけもらって途中下車。
もちろん、セールスのお兄さんにはすごまれたり、嫌味言われたりしましたけど、もともと、餌だけ食って逃げるつもりだったからね。。
このみたぽん様が釣られるわけないじゃん。
そうこうしている間に2人目が生まれた。
年子の下のA子はあまり手がかからない子でしたが、そのかわりいつまでも毛布が手放せませんでした。
夏になってもボアの毛布にくるまって汗をかいているA子にこの犬さんを与えたところ、すごく気に入ってどこへでも持ち歩いてました。
ところがある日、町で落としてしまった。
彼女の落ち込み方があんまり激しくて、私はどんなに子育てを『犬さん』に頼っていたか、痛感しました。
同じぬいぐるみを探したけど、売り物じゃ無いのでみつからない。
そこで、あの催眠商法のバスに一緒に乗った人を公園で探して、お願いして犬さんをゆずってもらいました。
その犬さんは新品だったので、まず土にこすりつけて汚し洗濯機で洗う作業を繰り返して、くたくたにして、クリスマスの朝、玄関に投げておいたのです。
クリスマスの朝、ずーっとどんよりしてた娘に、「あれ?今玄関で音がしたよ」と見に行かせると、わあわあ言いながら犬さんをかかえて戻って来ました。
「犬さんが戻って来た、犬さんが帰って来た!!!そうか、犬さんはサンタさんのお手伝いをするためにいなくなってたけど、クリスマスが終わったから帰って来たんだね。いぬさん、おかえりなさい!!!!」
A子3才。うちの犬さん神話誕生の瞬間です。
子供の喜ぶウソは手を抜かず、全力でつこうと決心した瞬間でもありました。
A子は小さい頃こう言ってました。
『この犬さんはね、悪いお兄さんにバスに乗ってつれてこられて、お母さんのところへきたんだよ。一回いなくなったけど、それはサンタさんのお手伝いをしてたから。クリスマスが終わったら、ひとりで帰って来たんだよ。』
彼女は、かなり大きくなっても、ちょっと不安な時はこの犬さんを折畳んで鞄にいれていたのを私は知っている。。。(かわゆいのお!)
ディスカッション
コメント一覧
くまのぬいぐるみには『ベルちゃん』 という名があるようですが、この犬さんには名前がないのですか?
それとも、「犬さん」が名前なのですか?
どんなに高価なものや、大きなものや、珍しいぬいぐるみでも、
興味を示すのは僅かの間、
うちの娘、12歳になろうとしてるのに、未だに肌身離さず持っているよれよれのウサギのぬいぐるみ「ナナちゃん」・・・
子供って不思議ですよね。
昨年夏日本に帰国した時の飛行機の中、泊まり歩いたホテルや旅館や知人宅、最後は東京デズニーランドまでお供しました。
「ナナちゃんにDLを見せてあげるんだよ。」とのけなげな発言に、多少のことでは動じない私も・・・胸が・・・
男親にはわからない、娘の胸の中・・・
いつになったら、理解できるんでしょうかね。
>塾長さん
そのとおりです!正式名称は『いぬさん』
3歳くらいの時だから、『いぬしゃん』とか言ってたような。。
>ワールドさん
あはは、同じです同じです。
うちもディズニーランドで「いぬさん」を抱えた写真あります。っていうか、その時期はどの写真にも「いぬさん」登場。
そのくらいの子供にとっては、いつも傍にいてくれる本当の意味でのお友達なんでしょう。
一応親が傍にいるとはいえ、常に注意が向いているわけじゃないですからね。
うちの子は、緊張する場面ではその犬さんを顔の前にかざして、そのうしろからそーっと覗いてました。
後ろに隠れているつもりだったと思います。
はじめて幼稚園に行く時は、小さく折りたたんで幼稚園バッグの中に入ってました。(携帯に便利なように、中の綿を抜いてくたくたにしてありましたから。)
副作用のない、安定剤ですね。
涙なくしては読めない・・。
そういうことするタイプじゃないと思ってたけどね。
母の愛は偉大なり。
虎子のぬいぐるみへの偏愛は知ってたっけ?
初代のウサギのうさしと二代目のアザラシのみーちゃんに注ぐ愛は半端ではなかったよ。
うさしもみーちゃんもぼろぼろになったから私に全身大改造されたけど、その縫い替えた布が擦り切れて、ぼろ布のひとまとまりになっても大事にしていたもんね。
でも、パスタが来る少し前にみーちゃんの魂が抜けたらしい。話が出来なくなったと言ってた。
新井素子さんっていうSF作家さんがぬいぐるみへの愛を語っていたエッセイがあったけど、それを読んでなるほどなあって思ったよ。私は、お人形にそんな愛を注いだことなかったからね。
その当時のことを虎子に聞くのは面白いよ。
いつかAちゃんと語らせてみたいね。
あざらしの『みーちゃん』私も会ったことありますよ!
ありゃ、傍目にも魂入ってましたね。。
こういう人形は供養なくしては捨てられない。
実は妹のムスメも、いるかのぬいぐるみを肌身離さず状態。(現在進行中)
子供の喜ぶ嘘には手を抜かず頑張るみたぽんさん、素敵ですね。
うまく騙せた時の達成感はすばらしいですよ。
それに、子供の神話創生に立ち会うわけですからね。
これ以上わくわくすることはないです。