羽化に立ち会う
友人のアコーディオン弾きのらくちゃんが世界的なジャズのフルート&サックスプレーヤー「ルー・タバキントリオ」のフロントアクトをするというので、行ってきました。
彼の奥様は秋吉敏子さん。もうお年だけど、ジャズピアニストとして有名。
実は、私がもう一度クラシックギターを始める気持ちになったのは、らくちゃんに出会ってからです。
彼女とセッションをしたくて、それには自分のギターがあまりにもしょぼくて、、それでこれまで独学だったギターを習う気になった。
習い始めたのがクラシックギターだったので、即興演奏には役立たない事は後で気付いたけど、たまたま先生は元ジャズギタリストだったので、時々コードワークのレクチャーもしてもらって、らくちゃんとも何度かセッションしました。
出合った頃の彼女は、確実に人を動かす力を持ってはいたけれど、自分の音楽の大きさに自分が振り回されているような演奏だった。
あれから4年くらいか。。彼女の演奏は数え切れないほど聞いた。
全てがパーフェクトというわけではないけど、時々すばらしい演奏にありつけるので、らく観察家をやめられない。
彼女はルーの前座を何回もやってるけど、
今日はスペシャルでした!
フロント・アクトの曲からして、力が抜けた本当のプロの演奏だと思ったけど、いきなり指示されて、最後にルー達とその場セッションをしたのが、今までで最高の演奏だったよ。
らくちゃんもよかったけど、ルーの演奏の中でも一番アピールがあってよかったよ。
親しい友人が成長する姿って、本当にうれしい。
初めて彼女の演奏を聞いた時の事すごくよく覚えている。
遠雷のとどろく中、今は無いベルデというカフェだった。
オープンな中庭は美しく雨に濡れて、らくちゃんのアコーディオンの音が、水分の多い空気を満たしていた。
あの時、この人と友達になりたいと強烈に思った。
たぶん私は友人である以前に、彼女の音楽のファンなんだと思う。
一回り大きくなったらくちゃんは、今の殻を破ってもうすぐ羽化するに違いない。
ディスカッション
コメント一覧
泣けた。
的確、かつ愛に満ちた文章。
ところで、
ベルデって無くなったんだ!?
驚きました。
>きょうちゃん
自分が演奏するより、ドキドキして、、
いつもは冷静な私ものりちゃんも、泣いたよ。
ベルデいい雰囲気のところだったよね。
名前も経営者も変わって中華料理店になったらしいよ。
遠くから、このみたぽんの報告を読んで、
私もドキドキしました。
すごいね。らくちゃんの羽化。楽しみです。
みたぽんの愛ある観察力もすごいー。
ベルデ・・・そういえば、ライブんとき、お客として行ったはずなのに、なぜかオーナーご夫婦につかまりオットとウエイターもどきのことをやらされたなぁ。。(笑)
フロントアクトの演奏は、「ふんふん、今日は力も抜けていいかんじだねえ」と思いながら聞いてたんだけど、、、
1部の終わった後にMCのジャズ評論家児山紀芳さんが「アコーディオンの岩城さんに何度も前座をやってもらってるけど、今日のが一番よかった。いきなりだけど、ルーとセッションさせよう。こういうチャンスはジャズの世界にはよくあることなんだ。やりますか?岩城さん?」なんていい始めた。
アンコールは本当に即興セッションだったんだよ。
彼女の裏でのうろたえぶりに、こっちまで心臓が飛び出しそうになりました。でもステージでは満面の笑みで、堂々とルーと音楽のやりとりをしながら、全く力の抜けたすばらしい即興演奏でした。
ライブでしか味わえない、すばらしい演奏だった。
人間は負荷をかけられて逃げられない状況になると、自分でもわかってない本当の中身がぬるっと出てくるんだなと思った。
ありがとう、みたぽん。
わたしが、わわわわしているとき、ふたりの渇がどんなに力強く、正気に戻してくれたか、伝えきれない。
弾きながら、今まで一緒に演奏してくれたたくさんの顔がぐるぐると(ぬるぬると?)出てきました。
いっぱいで弾いてるみたいでした。
>らくちゃん
らくちゃんがどうして自分の事を『楽』と名乗ってるのか最近わかった気がする。
らくちゃんほど『楽』にあこがれて『楽』になるために正面から死に物狂いに努力してる人を知らない。
らくちゃんの望みはただひとつ、人に愛される事で、そして、多くの人に愛されているシアワセな人だとおもうよ。