【ギタぽんが出来るまで】16 父の死

2015年お正月明け、夜中に広島の母から電話がかかった。救急車を呼んだけど、父が心肺停止と。
クリスマス頃からお正月明けまで実家に滞在してたけど、父は普通に元気だった。なんの心配もなく千葉に帰った直後だった。
慌てて翌日広島にとんぼ返り、病院に駆けつけると、父は人工呼吸器に繋がれて脳死状態。
私はコンクールの時のように感情が無くなってしまって、異常に観察力だけが増していた。
心臓が止まるまでの血圧、心電図の様子、心臓のパルスが乱れると薬が点滴に加えられ、心臓は活発に動き始める。そうするうちに、血管がだめになるのか、手や足、末端が冷たくなってくる。いよいよ心拍がみだれ、停止。これが「死」なのか?

家に連れて帰ってから、だんだん全身が冷たく固くなってゆき表情も変わって行く。
昨日まで健康で普通だったのに、もう動かない、もうしゃべらない、もう生きてない。
古い大きな実家の奥の間に寝かされている父から目がはなせなくて、何度も様子を見に行って、通夜の蝋燭やお線香を確認するたびにおでこや手を触った。
父は本当に冷たくなった。顔つきもどんどん変わっていった。この際、死を見てやるという自虐的な気持ちで目と感覚に焼き付けた。
知識としては知っていたけど、リアルな死がどういうものか、肌身に感じた。

そして、バタバタとお葬式や後処理。母がとりあえず落ち着くまで実家に滞在した。
その時父の血圧計でふと血圧を測ってみたら、なんと180!まだ死にたくないと思い、私は血圧の薬を飲むようになった。
(そして後にきょーじゅと【ハイパーテンションズ】を結成する!ハイパーテンション=高血圧)

広島を離れて日常の生活に戻った頃、季節は変わろうとしていた。
なんだか世界が変わって見えたが、変わったのは自分だったようで、全然ギターを弾く気にならない。
父の事でお休みしていたギター教室、行く気持ちにならず、ずるずると保留も心苦しく、、あんなにお世話になったのに、ふっと辞めてしまった。

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