【ギタぽんが出来るまで】30 汎用性

工場でギタぽんの説明をする。
ギターに詳しい社長はすぐに理屈を理解してくれた。
すでに手作りギタぽんがあるので、長さ厚さのデータはある。
「ここまで完成していれば、簡単です」と言ってくれた。
その工場では、もっと漠然としたアイデアから一緒に作り上げたりするらしかった。

でも、特許以上の困難さが待っていた。
金型が想像以上に高価だったので、いろんなギターに付けるものは作れない。
どんなギターに付けるか決める必要があった。

手作りのギタぽんはクラシックギター用に作ったが、
ギターのシェアを考えたら工場で作るのはアコギ専用にするしかない。
でも今までターゲットを中高年に考えていたので。。教本は中高年向きに作ってきた。
それに若者はギタぽんなんか付けなくてもギター弾いちゃうでしょう。。
今中高年に流行ってるといえばウクレレ。簡単そうに見えて、弦を押さえるのはギターと同じ。
いっそウクレレ用にしちゃうか。いやいや、実際そんな需要があるだろうか?
そもそもターゲットはどこなんだ?
それ以前にクラギに使えないなんて本末転倒。
クラギ弾きの自分が生徒さんのために開発したものだから。

マーケティングどころの話じゃない。心は千々に乱れる。

すべてのギターに対応する【汎用性】があれば、ターゲット問題は後回しに出来る。
特許の時と同じ、寝てもさめても解決方法を探って頭の中ぐるぐる。
特許の時の癖が抜けないのか、そもそも自分の思考がそうなのか、、解決法見つけた!
見つけたときって、快感なのよね。

いろんなギターに使える仕組みをおもいついたので、あとは作るだけ。といっても一筋縄ではいかなかったけど、今度はモノづくりのプロが手助けしてくれているので、苦労は半分。時間はかかったけど、すごく面白い作業。

次の問題は「お金」。
構造に汎用性を持たせるには成功したけど、部品の数が多いので全てを金型で作ろうとすると、金型代だけで何百万もかかると言われた。
私もここまでくると、儲かるなんて甘い考えは捨てていたが、先の見えないものに自分の老後資金を注ぎ込むほどの情熱はない。
しかたない。自力でつくれる部品はレーザーカッターと手作業で作って部品の数を減らし、金型代金を節約しよう。
手作りとは数の桁が違うけど、がんばって内職作業しよう、と心を決めた。

手作り品はネジで留めてたけど、工場で作るものは手でカチッと組み立て出来て、はずそうと思えば外せるようなしくみにしたい。
演奏中に動いては困る、でも調整するときは力加減で動く必要がある。この嵌合の具合が難しいけど、全部実現してくれた。
プロの仕事を垣間見させていただきました。

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